○佐賀県公共用地の取得に伴う公共補償規程
昭和44年5月26日
佐賀県訓令甲第8号
本庁
各現地機関
佐賀県の公共事業の施行に伴う公共補償規程を次のように定める。
佐賀県の公共事業の施行に伴う公共補償規程
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 既存公共施設等に対する補償(第6条―第15条)
第3章 公共施設等の損傷等に対する費用の負担(第16条―第19条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は、県の公共事業の施行に伴う公共補償の基準を定め、もって事業の円滑な遂行と適正な補償の確保を図ることを目的とする。
(公共補償)
第2条 公共補償は、事業の施行によりその機能を廃止し、若しくは休止することが必要となる起業地内の公共施設等に対する補償又は第3章の規定により行なう費用の負担とする。
(定義)
第3条 この規程において「公共施設」とは、土地収用法(昭和26年法律第219号)その他の法律に基づき土地等を収用し、又は使用することができる事業の用に供する施設をいう。
2 この規程において「公共施設等」とは、公共施設及び村落共同体その他の地縁的性格を有するものが設置し、又は管理する施設で公共施設に類するものをいう。
3 この規程において「機能回復」とは、事業の施行により廃止し、又は休止することが必要となる起業地内の公共施設等の機能を当該機能を構成している諸要素を総合的にみて、技術的、経済的に可能な範囲で、合理的な形で再現し、又は復元することをいう。この場合において、従前の公共施設等の機能が廃止されるときは、再現のための工事は、その廃止前に完了するものとし、従前の公共施設等の機能が休止されるときは、その休止期間中従前の公共施設等の機能に代わる仮施設の建設等を行なうものとする。
(1) 法令の規定により現物補償とすることが命ぜられたとき。
(2) 事業に係る工事の施行上現物補償とすることが技術的、経済的に合理的と認められるとき。
(3) 前2号のほか、現物補償とすることがやむを得ないと認められるとき。
2 公共補償を金銭をもってする場合においては、原則として、渡し切りとするものとする。
3 現物補償の場合において、当該現物補償に係る工事を完了したときは、直ちに当該工事に係る公共施設等をその管理者となるべき者に引き渡すものとする。
第2章 既存公共施設等に対する補償
(既存公共施設等に対する補償の原則)
第6条 事業の施行により、その機能を廃止し、又は休止することが必要となる起業地内の公共施設等(以下「既存公共施設等」という。)に対する補償は、機能回復が図られるよう行なうものとする。
2 既存公共施設等の機能回復は、既存公共施設等と同じ種類の施設(以下「同種施設」という。)によることが技術的、経済的に合理的と認められるときは、異種施設によることができる。
(土地代)
第7条 起業地外で既存公共施設等の機能回復を行なう場合においては、当該既存公共施設等に代替する公共施設等を合理的な建設地点に建設し、又は当該既存公共施設等を合理的な移転先に移転するために必要な土地(仮施設を建設するときは、土地を使用する権利)を取得するために要する費用を補償するものとする。
2 既存公共施設等が土地に関する所有権以外の権利に基づき設置されている場合においては、前項の規定にかかわらず同種又は類似の権利を取得することがきわめて困難なときを除き同種又は類似の権利を取得するために要する費用を補償するものとする。
(建設費)
第8条 既存公共施設等の機能回復が代替の公共施設等を建設することにより行なわれる場合においては、当該公共施設等を建設するために必要な費用(土地代及び建設雑費その他通常要する費用を除く。)から、既存公共施設等の処分利益及び既存公共施設等の機能の廃止又は休止の時までの財産価値の減耗分を控除した額を補償するものとする。ただし、既存公共施設等が国、地方公共団体又はこれらに準ずる団体が管理するものである場合においてやむを得ないと認められるときは、その限度において、既存公共施設等の機能の廃止又は休止の時までの財産価値の減耗分の全部又は一部を控除しないことができる。
(建設雑費その他通常要する費用)
第10条 既存公共施設等の機能回復を行なう場合においては、建設雑費その他通常要する費用で客観的に必要と認められるものを補償するものとする。
(維持管理費)
第11条 既存公共施設等の機能回復が異種施設により行なわれる場合においては、当該既存公共施設等及び異種施設の種類、状態等に応じて、適正かつ合理的な一定期間中の維持管理費の増加分(異種施設の維持管理から既存公共施設等の維持管理費を控除した額をいう。)補償することができるものとする。
2 既存公共施設等の機能回復が同種施設により行なわれる場合においては、次の各号の一に該当するときに限り、それぞれ適正かつ合理的な一定期間中の維持管理費の増加分(同種施設の維持管理費から既存公共施設等の維持管理費を控除した額をいう。)を補償することができるものとする。
(1) 既存公共施設等に代替する公共施設等が道路、鉄道等であって、その完成後路盤等が安定するまでに相当の期間を要し、その間維持管理費が著しく増加すると認められるとき。
(2) 既存公共施設等に代替する公共施設等の機能の発揮に必要な電力料等の維持管理費が従前に比し著しく増加すると認められるとき。
(一般補償規程による補償)
第13条 既存公共施設等の機能を廃止し、又は休止しても公益上支障が生じない場合における補償については、第6条から前条までの規定にかかわらず、佐賀県公共用地の取得に伴う損失補償規程(昭和39年佐賀県訓令第3号。以下「一般補償規程」という。)の定めるところによるものとする。
(未完成の公共施設等に対する補償)
第15条 起業地内にある工事に着手した公共施設等で使用が開始されていないものについては、施工済みの部分について、既存公共施設等に準じて補償することができるものとする。
第3章 公共施設等の損傷等に対する費用の負担
(自然施設の損壊に対する費用の負担)
第16条 事業の施行により起業地内の自然施設(自由使用に供され、かつ、地域住民一般の生業又は日常生活に欠くことのできない公共的機能を果たしていると認められる自然の状態をいう。)が損壊される場合において、当該自然施設に代替する機能を果たす公共施設の設置を余儀なくされる特別の事情があると客観的に認められるときで、地方公共団体が社会的、経済的にみて必要な代替の公共施設を建設するときは、これに必要な最小限度の費用を負担することができるものとする。
(工事の施工に伴う公共施設等の損傷等に対する費用の負担)
第17条 事業に係る工事の施行により起業地外の公共施設等の損傷又は機能の著しい低下で、社会通念上受忍の範囲をこえるものが生ずる場合において、公共施設等の管理者又は地方公共団体が、これを防止し、又は除去するために、当該公共施設等の機能を代替する仮施設の建設等又は当該公共施設等の機能を維持するための補修、模様替え等を行なうときは、これらの措置をとるために必要な最小限度の費用を負担することができるものとする。
(工事の施行に伴う一時的な行政需要の増大に対する費用の負担)
第18条 事業に係る工事の施行により行政需要の一時的な著しい増加による地方公共団体の財政上の負担の増大が生ずる場合において、地方公共団体が当該行政需要の増加に見合う財政支出をしなければ事業の施行上著しい支障を生ずることとなるときで、地方公共団体が当該事業の工事期間中及び残務整理期間中の行政需要を充足するために必要な公共施設を建設する等、当該行政需要を充足するための財政支出をするときは、これらの措置をとるために必要な最小限度の費用を、直接間接に利益を受ける限度において、負担することができるものとする。ただし、前条の規定により負担することができるものについては、同条の規定によるものとする。
(完成した施設に起因する公共施設等の損傷等に対する費用の負担)
第19条 完成した公共施設に起因する起業地外の公共施設等の損傷又は機能の著しい低下で、社会通念上受忍の範囲をこえるものが生ずる場合において、公共施設等の管理者又は地方公共団体が、これを防止し、又は除去するために、公共施設等の建設等を行なうときは、これらの措置をとるために必要な最小限度の費用を負担することができるものとする。
附則
1 この規程は、公布の日から施行する。
2 この規程の規定にかかわらず現に公共施設等の管理者又は地方公共団体と損失の補償又は費用の負担について協議中のものについては、なお従前の例による。
附則(平成16年訓令甲第1号)
この訓令は、平成16年4月1日から施行する。