○佐賀県美しい景観づくり条例

平成20年3月24日

佐賀県条例第24号

佐賀県美しい景観づくり条例をここに公布する。

佐賀県美しい景観づくり条例

私たちが暮らす佐賀県では、先人たちが日々の暮らしの営みの中で、自然や地形を活かし、また、これらに手を加えながら独自の景観を造り上げてきた。

このようにして創り出された多様で個性的な街並みや田園風景等は、自然の景観と調和を保ちながら、共に今日に引き継がれており、私たちに心地よさや懐かしさを感じさせている。

しかしながら、近年の経済社会情勢の変化、一部地域の都市化の進行等によって、これらの景観が損なわれつつあることも事実である。

こうしたことから、この県民共通の財産である佐賀県の美しい景観をより良いものにして次世代に引き継ぐため、私たちは、自らの日常生活や経済活動へのかかわり方を見つめ直す必要がある。

私たちは、一人一人が景観づくりの主役であることを深く認識し、美しい景観にあふれた、豊かで潤いのあるふるさと佐賀県の実現を目指していくため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、景観づくりに関し県、市町、事業者及び県民の責務を明らかにするとともに、景観づくりに関する施策の基本となる事項を定めることにより、景観づくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって県民の自然、歴史的文化的遺産等を大切にする意識及び佐賀県の景観を誇りに思う意識の涵養、健やかで快適な生活環境の創造並びに定住人口及び交流人口の拡大による地域活性化に貢献することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「景観づくり」とは、現にある美しい景観を保全し、及び育成し、失われつつある美しい景観を再生し、新たに美しい景観を創造し、並びにこれらの景観を活用することをいう。

(県の責務)

第3条 県は、景観づくりに関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施するとともに、景観に配慮した公共事業の実施に取り組む責務を有する。

2 県は、広域的な取組が必要とされる景観づくりに関する施策について、国及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。

(市町の責務)

第4条 市町は、住民の意向を十分に反映させて、地域の個性に応じた景観づくりの施策を推進し、景観資源の保全及び活用を図るとともに、景観に配慮した公共事業の実施に取り組むよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、その事業活動が景観に悪影響を及ぼすことのないよう努めるとともに、行政が行う景観づくりのための施策に積極的に参加し、及び協力することにより、景観づくりに寄与するよう努めなければならない。

2 事業者のうち、開発行為(宅地の造成、土石の採取その他の土地の形質の変更又は建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築をいう。)を行う者及び屋外広告業(屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第2項に規定する屋外広告業をいう。)を営む者は、その事業活動において景観に一層の配慮をするとともに、積極的に景観づくりを推進するよう努めなければならない。

(県民の責務)

第6条 県民は、景観づくりの担い手として、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、美化、緑化等の身近な景観づくりを推進するよう努めなければならない。

2 県民は、行政が行う景観づくりのための施策の立案に積極的にかかわるとともに、当該施策に参加し、及び当該施策を協働で実施するよう努めなければならない。

(佐賀県美しい景観づくり基本計画)

第7条 知事は、景観づくりを推進する方策を具体化し、県の景観づくりの主要な施策を提示するため、佐賀県美しい景観づくり基本計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。

2 基本計画には、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 景観づくりの方針

(2) 景観づくりの主体並びにその役割及び行動方針

(3) 景観づくりの主要な施策及びその推進スケジュール

(4) 前3号に掲げるもののほか、景観づくりに関する重要な事項

3 知事は、基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、佐賀県美しい景観づくり審議会の意見を聴くものとする。

4 知事は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。

(佐賀県遺産)

第8条 知事は、美しい景観を呈する地区又は地域を象徴する建造物で県民の貴重な資産であると認められるものを、佐賀県遺産として認定することができる。

2 知事は、前項の佐賀県遺産の保存及び活用を推進するための措置を講じなければならない。

(公共事業景観形成指針)

第9条 知事は、公共事業を実施する場合における良好な景観形成のための指針(以下「公共事業景観形成指針」という。)を定めるものとする。

2 知事は、公共事業の実施に当たっては、公共事業景観形成指針を遵守しなければならない。

(啓発活動)

第10条 県は、景観づくりに関して、事業者及び県民の理解を深めるとともに、その自主的な取組を促進するため、広報その他の啓発活動を行うものとする。

(審議会)

第11条 県に、佐賀県美しい景観づくり審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、この条例及び佐賀県屋外広告物条例(昭和39年佐賀県条例第43号)の規定によりその権限に属させられた事項を処理するものとする。

3 知事は、第7条第3項(同条第5項により準用する場合を含む。)に規定するもののほか、次に掲げる事項については、審議会の意見を聴かなければならない。

(1) 景観計画(景観法(平成16年法律第110号)第8条第1項に規定する景観計画をいう。)の策定又は変更に関すること。

(2) 第8条第1項の佐賀県遺産の認定に関すること。

(3) 公共事業景観形成指針の策定に関すること。

(4) その他景観づくりに関する重要な事項に関すること。

4 審議会は、必要があると認めるときは、景観づくりに関する事項について、知事に建議することができる。

(平21条例26・一部改正)

第12条 審議会は、委員20人以内で組織し、次の各号に掲げる者の中から知事が任命する。

(1) 学識経験者

(2) 観光及び商工業の関係者

(3) 前2号に掲げる者のほか知事が必要があると認める者

2 委員の任期は2年とし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

3 前2項の規定にかかわらず、知事は、一定の地域又は事項における景観づくりについて審議会が調査審議する必要があると認めるときは、別に任期を定めて委員を任命することができる。

(部会)

第13条 審議会は、専門的な事項を調査審議するため、部会を置くことができる。

2 部会は、次に掲げる者をもって構成する。

(1) 審議会委員

(2) 当該専門事項に関して十分な知識又は経験を有する者のうちから、知事が任命する者

3 審議会は、その定めるところにより、部会の議決をもって審議会の議決とすることができる。

(平21条例26・追加)

(補則)

第14条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、知事が別に定める。

(平21条例26・旧第13条繰下)

この条例は、平成20年4月1日から施行する。

(平成21年条例第26号)

(施行期日)

1 この条例は、平成22年4月1日から施行する。ただし、第1条、第3条及び次項の規定は、平成21年4月1日から施行する。

(準備行為)

2 第2条の規定による改正後の佐賀県屋外広告物条例(以下「改正後の条例」という。)第5条第1項又は第6条第5項の規定による許可の基準については、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)前においても、佐賀県美しい景観づくり審議会の意見を聴くことができる。

佐賀県美しい景観づくり条例

平成20年3月24日 条例第24号

(平成21年4月1日施行)