○佐賀県中小企業・小規模企業振興条例
平成30年3月26日
佐賀県条例第27号
佐賀県中小企業・小規模企業振興条例をここに公布する。
佐賀県中小企業・小規模企業振興条例
佐賀県は、幕末維新期において、近代産業技術をいち早く取り入れ、反射炉、鉄製大砲、実用蒸気船の建造に成功するとともに、その後の国づくりで活躍する多くの人材を輩出するなど、我が国の近代化をリードしてきた。
また、佐賀県は、伊万里・有田焼などの陶磁器産業に代表される国内外に誇るべき伝統産業を有しており、これは、優れた人材が卓越した技術を生み出し、次代へ継承させることで発展してきた。
このように、佐賀県では、かねてから「ものづくり」や「ひとづくり」を重んじており、この伝統は、今も中小企業・小規模企業に受け継がれている。
さらに、佐賀県の中小企業・小規模企業は、地域に根差した多様な事業活動を通じ、地域の雇用や経済はもとより県民生活や地域社会そのものを支える重要な役割を担っている。
近年、人口減少や少子高齢化の進行、経済のグローバル化の一層の進展、人工知能、IoT、シェアリングエコノミー等に代表される第4次産業革命の急速な広がりなど、中小企業・小規模企業を取り巻く環境は、かつてないスピードで大きく変化している。
今まさに、佐賀県の中小企業・小規模企業は、こうした変化にしっかりと対応するとともに、これを好機として、あらゆる分野において更なる発展に向けて新たな取組を行っていかなければならない。
また、県、市町、中小企業支援機関は、役割を分担しつつ連携協力して、中小企業・小規模企業の持続的な発展を支援していく必要がある。
明治維新150年を契機に、先人の「志」を今に活かし、「ものづくり」や「ひとづくり」の伝統等を未来につなげることにより中小企業・小規模企業の振興を図り、もって世界に誇れる佐賀県を築くため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、中小企業・小規模企業の振興に関し、基本理念及び施策を講ずるに当たっての基本方針を定め、県及び中小企業支援機関の役割を明らかにする等により、経営環境の変化に対応し積極的な取組を行う中小企業者及び小規模企業者を支援し、もって本県経済の発展及び地域の活性化に寄与することを目的とする。
(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号。以下「法」という。)第2条第1項に規定する中小企業者であって、県内に事務所又は事業所(以下「事務所等」という。)を有するものをいう。
(2) 小規模企業者 法第2条第5項に規定する小規模企業者であって、県内に事務所等を有するものをいう。
(3) 中小企業支援機関 商工会議所、商工会、商工会連合会、中小企業団体中央会その他の中小企業に対する支援を行う団体であって県内に事務所等を有するもの、公益財団法人佐賀県産業振興機構、中小企業等経営強化法(平成11年法律第18号)第31条第1項の認定を受けた銀行、信用金庫、信用協同組合その他の金融機関であって県内に事務所等を有するもの及び佐賀県信用保証協会をいう。
(4) 大企業者 中小企業者以外の事業者であって、県内に事務所等を有するものをいう。
(令3条例30・一部改正)
(基本理念)
第3条 中小企業・小規模企業の振興は、次に掲げる事項を基本理念として図られなければならない。
(1) 多様かつ優れた産業技術及び人材、豊かな自然、歴史、伝統、文化、農林水産物その他の本県が有する地域資源を積極的に活用する等により、中小企業・小規模企業の自発的かつ創造的な活動に資すること。
(2) 中小企業・小規模企業の様々な活動及び交流を通じて、地域住民の生活向上及び自主的かつ個性豊かな地域社会の形成に資すること。
(3) 若者、女性、高齢者及び障害者を含め、全ての県民が安心して働き、及び活躍することができる社会の実現に資すること。
(基本方針)
第4条 県は、基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づき中小企業・小規模企業の振興に関する施策を講ずるものとする。
(1) 経営革新、販路開拓、創業、円滑な事業承継その他の中小企業者及び小規模企業者の新たな事業活動を促進すること。
(2) 先端的な技術を活用した設備及び機器の導入、事業の共同化の推進等により、中小企業者及び小規模企業者の生産性向上等を支援し、経済的社会的環境の変化への対応を促進すること。
(3) 円滑な資金調達等を支援し、並びに中小企業者及び小規模企業者の経営基盤の強化を促進すること。
(4) 産業技術力の強化、産業人材の育成等により中小企業者及び小規模企業者の経営資源を確保するとともにその活用を促進すること。
(5) 産業界、大学、行政、金融機関、中心市街地活性化協議会、特定非営利活動法人等との連携を促進すること。
(6) 農林水産業、医療及び福祉に関する産業その他あらゆる産業間の連携を促進すること。
(7) 地域を誇りに思う心及び地域への愛着が醸成されるとともに地域経済を支える人材が県内に定着すること。
(8) 多様な働き方ができる労働環境の整備により、若者、女性、高齢者及び障害者を含む多様な人材の就労を促進すること。
2 県は、中小企業者及び小規模企業者が、地域に根差した多様な事業活動を通じ、地域の雇用及び経済の発展に大きく寄与するとともに、県民生活及び地域社会を支える重要な役割を担っていることについて、県民の理解を深めるよう努めるものとする。
(中小企業支援機関の役割)
第6条 中小企業支援機関は、中小企業者及び小規模企業者の経営の改善及び向上並びに創業及び円滑な事業承継の促進を図る取組を積極的に支援するものとする。
(関係機関等の連携)
第7条 県は、第5条第1項に規定する施策の推進に当たっては、国、市町、中小企業支援機関、教育機関、大企業者、各種関係団体等と役割を分担しつつ、連携協力して取り組むとともに、中小企業者、小規模企業者及びこれらの機関に対し、必要な情報提供等を行うものとする。
2 県、市町及び中小企業支援機関は、それぞれの強みを発揮しつつ連携協力して、中小企業者及び小規模企業者に対し一体的な支援を行うよう努めるものとする。
3 中小企業支援機関は、中小企業者及び小規模企業者の支援に当たっては、中小企業支援機関相互の連携強化に努めるものとする。
(中小企業者及び小規模企業者の努力)
第8条 中小企業者及び小規模企業者は、経済的社会的環境の変化に対応して、自主的な経営の改善及び向上に努めるものとする。
(小規模企業者への配慮)
第9条 県は、第5条第1項に規定する施策の推進に当たっては、小規模企業者の持続的発展に資するよう配慮するものとする。
(施策への反映)
第10条 県は、中小企業者及び小規模企業者の実態把握及び意見聴取を行い、これらの結果を県が行う中小企業・小規模企業の振興に関する施策に反映するよう努めるものとする。
(財政上の措置)
第11条 県は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。
附則
1 この条例は、公布の日から施行する。
2 この条例の規定については、この条例の施行後5年を目途として、この条例の施行の状況について検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
附則(令和3年条例第30号)
この条例は、公布の日から施行する。