○佐賀県危険な薬物から県民の命とくらしを守る条例

平成26年12月19日

佐賀県条例第87号

佐賀県危険な薬物から県民の命とくらしを守る条例をここに公布する。

佐賀県危険な薬物から県民の命とくらしを守る条例

目次

第1章 総則(第1条―第4条)

第2章 薬物の濫用の防止に関する基本的な施策(第5条―第9条)

第3章 薬物の濫用の防止のための規制(第10条―第20条)

第4章 佐賀県薬物検討審査会(第21条)

第5章 雑則(第22条)

第6章 罰則(第23条―第29条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、薬物の濫用による被害が深刻な状況にあることを踏まえ、薬物の濫用を防止するための施策を推進することにより、危険な薬物の濫用から県民の命と安全を守るとともに、県民が平穏に、かつ安心して暮らすことができる健全な社会の実現を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「薬物」とは、次に掲げる物をいう。

(1) 大麻取締法(昭和23年法律第124号)第1条に規定する大麻

(2) 覚醒剤取締法(昭和26年法律第252号)第2条第1項に規定する覚醒剤及び同条第5項に規定する覚醒剤原料

(3) 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第2条第1号に規定する麻薬、同条第4号に規定する麻薬原料植物及び同条第6号に規定する向精神薬

(4) あへん法(昭和29年法律第71号)第3条第1号に規定するけし、同条第2号に規定するあへん及び同条第3号に規定するけしがら

(5) 毒物及び劇物取締法施行令(昭和30年政令第261号)第32条の2に規定するトルエン並びに酢酸エチル、トルエン又はメタノールを含有するシンナー(塗料の粘度を減少させるために使用される有機溶剤をいう。)、接着剤、塗料及び閉そく用又はシーリング用の充てん料

(6) 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第15項に規定する指定薬物(以下「指定薬物」という。)

(7) 前各号に掲げるもののほか、濫用されることにより、興奮、幻覚、陶酔その他これらに類する作用を人の精神に及ぼし、又は及ぼすおそれのある物(酒類及びたばこを除く。)

(令2条例21・一部改正)

(県の責務)

第3条 県は、薬物の濫用の防止に関する施策を総合的かつ計画的に推進する責務を有する。

(県民の責務)

第4条 県民は、薬物の危険性に関する知識と理解を深め、薬物の濫用による県民の生命、身体等に対する危害の発生を防止するよう努めなければならない。

2 県民は、薬物の濫用の防止に関する県の施策に協力するよう努めなければならない。

第2章 薬物の濫用の防止に関する基本的な施策

(推進体制の整備)

第5条 県は、薬物の濫用の防止に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、必要な体制を整備するものとする。

2 知事及び公安委員会は、相互に連携し、及び協力して薬物の濫用の防止に関する調査、指導その他の措置を行うものとする。

(情報の提供)

第6条 県は、薬物の濫用による県民の生命、身体等に対する危害の発生を防止するため、県民に必要な情報を提供するものとする。

(教育及び学習の推進)

第7条 県は、県民が薬物の危険性に関する正確な知識に基づき行動することができるよう、教育及び学習の推進のため必要な措置を講ずるものとする。

(監視及び指導)

第8条 県は、薬物の濫用を防止するための監視及び指導を適切かつ効果的に実施するものとする。

(国等との連携等)

第9条 県は、薬物の濫用の防止に関する施策の推進に当たっては、国、他の地方公共団体及び薬物の濫用の防止を目的とする団体との連携及び協力を図るものとする。

2 県は、薬物の濫用を防止するため必要があると認めるときは、国に対し意見を述べ、必要な措置を講ずるよう要請するものとする。

第3章 薬物の濫用の防止のための規制

(知事指定薬物の指定)

第10条 知事は、第2条第7号に掲げる薬物のうち、人の健康に被害が生ずると認められるものであって、県の区域内において現に濫用され、又は濫用されるおそれがあると認められるものを知事指定薬物として指定することができる。

2 知事は、前項の規定により知事指定薬物を指定しようとするときは、あらかじめ佐賀県薬物検討審査会の意見を聴くものとする。ただし、緊急を要すると認めるときは、この限りでない。

3 知事は、前項ただし書の場合においては、指定後速やかに、その指定に係る事項を佐賀県薬物検討審査会に報告しなければならない。

4 第1項の規定による指定は、当該知事指定薬物の名称、指定の理由その他必要な事項を告示することによって行うものとする。

(知事指定薬物の指定の失効)

第11条 前条第1項の規定による指定は、知事指定薬物が第2条第1号から第6号までに掲げる薬物に該当するに至ったときは、その効力を失うものとする。

2 知事は、前項の規定により知事指定薬物の指定が効力を失うときは、当該知事指定薬物の名称、失効の理由その他必要な事項を告示するものとする。

3 第23条から第26条まで、第27条第1号及び第2号並びに第29条の規定は、第1項の規定による知事指定薬物の指定の失効前にした行為についても、これを適用する。

(製造等の禁止)

第12条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、規則で定める正当な理由がある場合は、この限りでない。

(1) 知事指定薬物を製造し、又は栽培すること。

(2) 知事指定薬物を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で所持すること(県の区域外における販売又は授与の目的で所持する場合を含む。)

(3) 知事指定薬物を販売又は授与の目的で広告すること。

(4) 知事指定薬物を所持し、購入し、譲り受け、又は使用すること(販売又は授与の目的で所持する場合を除く。)

(5) 指定薬物又は知事指定薬物を製造し、栽培し、販売し、授与し、又は使用することを知って、場所を提供し、又はあっせんすること。

(知事監視製品の指定)

第13条 知事は、第2条第7号に掲げる薬物のうち、その名称、使用方法等の表示内容、販売場所、販売方法、広告その他の情報から、吸入、摂取その他の方法により身体に使用されるおそれがあると認めるものを知事監視製品として指定することができる。

2 知事は、前項の規定により知事監視製品を指定しようとするときは、あらかじめ佐賀県薬物検討審査会の意見を聴くものとする。

3 第1項の規定による指定は、当該知事監視製品を特定できる情報、指定の理由その他必要な事項を告示することによって行うものとする。

(知事監視製品の指定の失効)

第14条 前条第1項の規定による指定は、知事監視製品が第2条第1号から第6号までに掲げる薬物又は第10条第1項の知事指定薬物を含有することが判明したときは、その効力を失うものとする。

2 知事は、前項の規定により知事監視製品の指定が効力を失うときは、当該知事監視製品を特定できる情報、失効の理由その他必要な事項を告示するものとする。

3 第27条第2号及び第3号第28条並びに第29条の規定は、第1項の規定による知事監視製品の指定の失効前にした行為についても、これを適用する。

(知事監視製品の指定の取消し)

第15条 知事は、第13条第1項の規定により指定した知事監視製品が、吸入、摂取その他の方法により身体に使用されるおそれがなくなったと認める場合その他相当の理由がある場合は、その指定を取り消すことができる。

2 知事は、前項の規定により知事監視製品の指定を取り消すときは、あらかじめ佐賀県薬物検討審査会の意見を聴くものとする。

3 第1項の規定による指定の取消しは、当該知事監視製品を特定できる情報、取消しの理由その他必要な事項を告示することによって行うものとする。

(帳簿の記載及び保存の義務)

第16条 知事監視製品を、業として、販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で所持しようとする者は、帳簿を備え、規則で定めるところにより、知事監視製品の購入、譲受け、販売及び授与(以下「購入等」という。)に関する事実をこれに記載し、当該購入等を行った日から3年間保存しなければならない。

(知事監視製品を購入等した者の手続等)

第17条 知事監視製品を購入し、又は譲り受けた者は、当該知事監視製品を県の区域内において所持したときは、直ちに、みだりに吸入、摂取その他の方法により身体に使用しない旨の誓約その他規則で定める事項を記載した書面(以下「誓約書」という。)を知事に提出しなければならない。

2 前項の規定により誓約書を提出した者は、その内容を遵守しなければならない。

3 知事は、第1項の規定により誓約書を提出した者に対し、その内容の遵守状況を確認し、必要な指導を行うことができる。

(立入調査等)

第18条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に、知事指定薬物若しくは知事監視製品又はこれらに該当する疑いのある物(以下「知事指定薬物等」という。)を業務上取り扱う場所その他必要な場所に立ち入り、物件を調査させ、関係者に質問させ、又は試験のため必要な最小限度の分量に限り知事指定薬物等を収去させることができる。

2 公安委員会は、前項の規定による立入調査、質問又は収去(以下「立入調査等」という。)を安全に実施するために必要な限度において、公安委員会規則で定める警察職員をしてこれに同行させ、補助させることができる。

3 前2項の規定により立入調査等を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

4 第1項及び第2項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(警告)

第19条 知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、その行為をした者に対し、警告を発することができる。

(1) 第12条第1号の規定に違反して知事指定薬物を製造し、又は栽培したとき。

(2) 第12条第2号の規定に違反して知事指定薬物を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で所持したとき(県の区域外における販売又は授与の目的で所持したときを含む。)

(3) 第12条第3号の規定に違反して知事指定薬物を販売又は授与の目的で広告したとき。

(4) 第12条第4号の規定に違反して知事指定薬物を所持し、購入し、譲り受け、又は使用したとき(販売又は授与の目的で所持したときを除く。)

(5) 第12条第5号の規定に違反して指定薬物又は知事指定薬物を製造し、栽培し、販売し、授与し、又は使用する場所を提供し、又はあっせんしたとき。

(6) 第16条の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。

(7) 第17条第1項の規定に違反して誓約書を提出しなかったとき。

(8) 第17条第2項の規定に違反して誓約書の内容を遵守しなかったとき。

2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項各号に掲げる行為を行ったときは、行為者のほか、その法人又は人に対しても、同項の警告を発するものとする。

3 第1項の警告は、書面により行うものとする。

(製造等の中止等の命令)

第20条 知事は、前条第1項の規定による警告(同項第1号から第5号までに掲げるものに限る。第3項において同じ。)に従わない者に対し、知事指定薬物の製造、栽培、販売、授与、所持、広告、購入、譲受け若しくは使用若しくは指定薬物若しくは知事指定薬物を製造し、栽培し、販売し、授与し、若しくは使用する場所の提供若しくはあっせんの中止(以下「知事指定薬物の製造等の中止」という。)を命じ、又は知事指定薬物の回収若しくは廃棄その他必要な措置を執るべきことを命ずることができる。

2 知事は、前条第1項の規定による警告(同項第6号に掲げるものに限る。)に従わない者に対し、知事監視製品の販売若しくは授与の中止を命じ、又は知事監視製品の回収その他必要な措置を執るべきことを命ずることができる。

3 知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、前条第1項の規定による警告を発することなく、知事指定薬物の製造等の中止を命じ、又は知事指定薬物の回収若しくは廃棄その他必要な措置を執るべきことを命ずることができる。

(1) 薬物の濫用から県民の健康と安全を守るため緊急を要する場合で、前条第1項の規定による警告を発するいとまがないとき。

(2) 前条第1項第1号から第5号までのいずれかに掲げる行為を行った者が、過去に前条第1項の規定による警告を受けたことがあるとき。

第4章 佐賀県薬物検討審査会

第21条 第2条第7号に規定する薬物の危険性に関する事項を調査審議させるため、佐賀県薬物検討審査会(以下「審査会」という。)を置く。

2 審査会は、委員5人以内で組織し、学識経験者及び薬物に関し優れた識見を有する者のうちから知事が任命する。

3 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

5 審査会の行う調査審議の手続は、公開しない。

6 前各項に定めるもののほか、審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第5章 雑則

第22条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則又は公安委員会規則で定める。

第6章 罰則

(罰則)

第23条 第20条第1項又は第3項の規定による命令(第19条第1項第1号及び第2号に係るものに限る。)に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

第24条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(1) 第12条第1号又は第2号の規定に違反した者

(2) 第20条第1項又は第3項の規定による命令(第19条第1項第3号及び第4号に係るものに限る。)に違反した者

第25条 第12条第3号又は第4号の規定に違反した者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

第26条 第20条第1項又は第3項の規定による命令(第19条第1項第5号に係るものに限る。)に違反した者は、50万円以下の罰金に処する。

第27条 次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。

(1) 第12条第5号の規定に違反した者

(2) 第18条第1項の規定による立入調査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して陳述せず、若しくは虚偽の陳述をした者

(3) 第20条第2項の規定による命令に違反した者

第28条 第19条第1項第7号又は第8号の規定による警告に従わない者は、5万円以下の過料に処する。

(両罰規定)

第29条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第23条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

この条例は、公布の日から施行する。ただし、第12条第16条から第20条まで及び第6章の規定は、平成27年2月1日から施行する。

(令和2年条例第21号)

この条例は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)第4条の規定(覚せい❜❜剤取締法(昭和26年法律第252号)第9条第1項第2号の改正規定を除く。)の施行の日から施行する。

(施行の日=令和2年4月1日)

佐賀県危険な薬物から県民の命とくらしを守る条例

平成26年12月19日 条例第87号

(令和2年4月1日施行)

体系情報
第6編 衛生/第5章 薬務
沿革情報
平成26年12月19日 条例第87号
令和2年3月23日 条例第21号
令和6年3月26日 条例第12号