○佐賀県再生可能エネルギー利用等促進条例

平成17年3月24日

佐賀県条例第51号

〔佐賀県新エネルギー・省エネルギー促進条例〕をここに公布する。

佐賀県再生可能エネルギー利用等促進条例

(令3条例20・改称)

我が国は、エネルギー資源に関しては極端に乏しく、その大部分を海外に依存しており、エネルギーの安定的な確保は最重要課題の1つである。

一方、石油、石炭等の化石燃料については、資源の枯渇が懸念されるとともに、排出される温室効果ガスが気候変動による災害等の発生リスクを高めているとされ、県内でも甚大な風水害が発生するなどの影響が具体的に現れていることから、使用そのものを抑制することが求められている。

このような状況の中、私たちは、生活水準の向上及び経済の発展を保ちながら、温室効果ガスの排出の少ないエネルギーへの転換を進め、豊かで安全な生活を送ることができる地球環境を次の世代へと引き継いでいく責務を有している。

このため、県民、事業者及び行政が一体となって、エネルギーの使用による環境に対する負荷を低減する社会づくりを推進していかなければならないことは明らかである。

幕末・維新期において、我が国の科学技術を牽引した佐賀藩は、当時最先端のエネルギー技術を有するとともに、電気学会の設立に尽力した志田林三郎など、我が国のエネルギーの近代化を支えた人材を輩出している。

この先人達の志は、現在に至るまで脈々と受け継がれ、今日においても、海洋温度差発電技術の開発や発展途上国の未電化地域の電化など、地域の枠を超えて世界を牽引する成果が生み出されており、これからも受け継いだ志を佐賀から世界へ、そして未来へと伝承し、環境及び経済に関する様々なリスクの低減に向けた取組を着実に進めていく必要がある。

これらのような考え方や歴史的背景を踏まえ、私たちは、毎日の経済活動や生活で使用するエネルギーについて、県にゆかりのある人、企業、技術、製品等を活用し、県内外において、エネルギーの使用による環境への負荷の低減に貢献することにより、持続可能な社会をつくりあげることを目指して、この条例を制定する。

(令3条例20・一部改正)

(目的)

第1条 この条例は、再生可能エネルギー利用等の研究開発及び導入並びにこれらの推進に資するための人材の育成及び市場の形成(以下「研究開発等」という。)の促進について、県、市町、事業者及び県民の責務等を明らかにするとともに、施策の基本的な事項を定めることにより施策を総合的かつ計画的に推進し、もって環境への負荷の少ない循環を基調とする社会の形成並びに現在及び将来の県民の健康で文化的な生活の確保を図り、ひいては我が国及び世界の経済社会の持続的な発展に貢献することを目的とする。

(平17条例74・令3条例20・一部改正)

(定義)

第2条 この条例において「再生可能エネルギー利用等」とは、次に掲げるエネルギーの利用形態をいう。

(1) 再生可能エネルギー(太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものを利用して得られるエネルギーをいう。第3号において同じ。)を製造し、若しくは発生させ、又は利用すること(次号に掲げるものを除く。)

(2) 新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(平成9年法律第37号)第2条に規定する新エネルギー利用等

(3) 前2号に掲げるもののほか、再生可能エネルギーの安定的な供給及びエネルギー源の多様化に資する技術を導入すること並びにエネルギーの使用による温室効果ガスの排出量がより少ないエネルギーへの転換を図ること。

(4) 再生資源(資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)第2条第4項に規定する再生資源をいう。)を原材料とする燃料を製造すること並びに再生資源及び再生資源を原材料とする燃料を発電し、又は熱及び動力を得ることに利用すること。

(5) エネルギー使用の節約及び効率化を図ること。

(令3条例20・一部改正)

(県の責務)

第3条 県は、再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進に関する総合的かつ計画的な施策を策定し、実施する責務を有する。

2 県は、市町が再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進に関する施策を策定し、実施しようとするときは、助言、情報の提供等必要な協力を行うものとする。

3 県は、事業の実施に当たっては、自ら率先して再生可能エネルギー利用等の推進に努めるものとする。

(平17条例74・令3条例20・一部改正)

(市町の役割)

第4条 市町は、その事業の実施に当たっては、自ら率先して再生可能エネルギー利用等の推進に努めるものとする。

2 市町は、県が実施する再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進に関する施策に協力するものとする。

(平17条例74・令3条例20・一部改正)

(事業者の役割)

第5条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、自ら積極的に再生可能エネルギー利用等の推進に努めるものとする。

2 事業者は、県が実施する再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進に関する施策に協力するとともに、主体的に取り組むよう努めるものとする。

(令3条例20・一部改正)

(県民の役割)

第6条 県民は、その日常生活において、積極的に再生可能エネルギー利用等の推進に努めるものとする。

2 県民は、県が実施する再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進に関する施策に協力するものとする。

(令3条例20・一部改正)

(連携の推進等)

第7条 県は、再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進に関する施策の策定及び実施に当たっては、国、地方公共団体、大学その他の研究機関、県民、事業者及び民間非営利活動法人その他の民間団体(以下「民間非営利活動法人等」という。)と緊密な連携を図るとともに、相互の協力が増進されるよう努めるものとする。

(令3条例20・一部改正)

(基本方針)

第8条 県は、次に掲げる基本方針に基づき、再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 県内の自然環境、社会環境、技術その他の地域特性を最大限に生かすこと。

(2) 災害発生時においてもエネルギーの供給が継続される仕組みの構築を図ること。

(3) 長期的に成長が期待される再生可能エネルギー利用等に関連する産業及び人材の育成に努めるとともに、産業活動において再生可能エネルギー利用等を促進し、地域の雇用創出を図ること。

(4) 地域環境の保全を図りつつ、地域にあるエネルギー資源をそれぞれの地域で活用することを促進し、地域の活性化を図ること。

(5) 県民が主体性を持って再生可能エネルギー利用等を進める社会的気運を醸成すること。

(6) 県に関係のある人、企業、技術、製品その他の地域資源の活用により、我が国及び世界の再生可能エネルギー利用等の普及拡大に貢献すること。

(令3条例20・一部改正)

(基本計画の策定)

第9条 知事は、再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進に関する基本的な計画(以下この条において「基本計画」という。)を策定しなければならない。

2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 本県の地域特性に応じた再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進に関する総合的かつ中長期的な目標及び施策の基本的事項

(2) 前号に掲げるもののほか、再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 知事は、基本計画の策定に当たっては、あらかじめ、佐賀県環境審議会及び県民の意見を聴くなど、県民意見の反映に努めなければならない。

4 知事は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを議会に報告するとともに、公表しなければならない。

5 知事は、4年ごとに、基本計画の推進状況を公表するものとする。

6 知事は、前項の推進状況等を勘案し、基本計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならない。

7 第3項及び第4項の規定は、基本計画の変更について準用する。

(令3条例20・一部改正)

(学習の推進及び普及啓発)

第10条 県は、再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進の必要性について、県民及び事業者の理解を深めるため、エネルギーに関する学習の推進及び普及啓発について必要な措置を講ずるものとする。

(令3条例20・一部改正)

(民間非営利活動法人等の自発的な活動の促進)

第11条 県は、県民若しくは事業者又はこれらの者の組織する民間非営利活動法人等が行う再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進に関する自発的な活動を促進するため、必要な支援を行うものとする。

(令3条例20・一部改正)

(技術の向上と関連産業の振興)

第12条 県は、再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進に寄与する事業活動に対して、必要な支援を行い、技術の向上を図るとともに、関連する産業の振興に努めるものとする。

(令3条例20・一部改正)

(表彰等)

第13条 県は、再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進を図るため、これらに関して特に功績があると認められる者に対し、表彰等必要な措置を講ずるものとする。

(令3条例20・一部改正)

(県民意見の反映)

第14条 県は、再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進に関する施策の実施に当たっては、あらかじめ、広く県民の意見を聴くなど、県民意見の反映に努めなければならない。

(令3条例20・一部改正)

(国際協力の推進)

第15条 県は、再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進に関する国際協力を推進するため、情報収集、技術提供等必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(令3条例20・一部改正)

(財政上の措置)

第16条 県は、再生可能エネルギー利用等の研究開発等の促進に関する施策を着実に実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(令3条例20・一部改正)

この条例は、平成17年4月1日から施行する。

(平成17年条例第74号)

この条例中第8条、第10条、第13条、第18条、第21条、第23条、第24条、第37条、第41条、第43条、第45条、第48条、第54条、第64条及び第67条の規定は平成18年1月1日から、第15条、第26条、第38条、第63条及び第65条の規定は平成18年3月1日から、その他の規定は平成18年3月20日から施行する。

(令和3年条例第20号)

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日以後最初の基本計画の推進状況の公表については、この条例による改正後の佐賀県再生可能エネルギー利用等促進条例第9条第5項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

佐賀県再生可能エネルギー利用等促進条例

平成17年3月24日 条例第51号

(令和3年3月22日施行)