○発電用水利使用出願手続
大正6年5月26日
佐賀県令第33号
発電用水利使用出願手続次ノ通之ヲ定ム
発電用水利使用出願手続
第1条 発電ノ原動力ニ供スル為河川其ノ他公有水面ノ水ヲ使用セムトスル者ハ本手続ニ依リ直接当庁ニ出願スヘシ
第2条 前条出願ノ場合ニ於テ100馬力以上ノ水力ヲ発生セムトスルモノハ次ノ各号ヲ具シタル図書3通其ノ他ノモノハ同1通ヲ添付スヘシ
(1) 起業ノ概要
ア 起業者ノ住所職業及氏名(会社ナルトキハ其ノ社名)
イ 起業ノ目的
電燈供給事業ナルトキハ何町村内燈火用、電力供給事業ナルトキハ何鉄道若ハ何軌道何鉱山何工場用、電気化学工業用ナルトキハ何町村何製造所何工場用ノ類
ウ 供給区域若ハ鉄道軌道経過地ヲ表示セル図面(縮尺20万分1)
エ 取水河川(若ハ公有水面以下同シ)名並取水口及放水口ノ位置
オ 使用水量
毎秒時立方尺、渇水時ノ水量ヲ超過シテ水ヲ使用セムトスル場合ハ其ノ事由ヲ附記シ若シ灌漑用水其ノ他ノ水利ニ影響ヲ有スル場合ハ参考トシテ之ニ要スル水量其ノ他ノ関係ヲモ記載スルコト
カ 有効落差(曲尺ニテ示スコト)
キ 馬力数(使用水量及有効落差ヨリ計算シタル理論馬力数)
ク 発電力(「キロワット」数)
ケ 水ノ使用期間
(2) 水路工事
ア 水路一覧図
縮尺5万分1トシ堰堤、取水口、隧道、開渠、排砂池、発電所、放水口等ノ位置及取水箇所ニ於ケル流域境界線ヲ記載シ尚附近ニ於テ灌漑其ノ他既許可ノ水利事業アルトキハ其ノ位置ヲ記入シ特ニ貯水池又ハ河水ノ調整池ヲ設クルモノニ在リテハ其ノ位置ヲ記載スルコト
イ 水路予測縦断面図
縮尺横6,000分1以上縦200分1以上トシ堰堤、取水口、隧道、開渠、排砂池、発電所、放水口其ノ他主要工作物ノ位置、取水口及発電所附近ニ於ケル最高水位、平水位、最低水位ヲ記入シ高低ノ基準ハ可成陸地測量部ノ水準標ニ準拠スルコト
ウ 堰堤及水路ノ定規図(縮尺ハ適宜トシ形状、材質及構造ノ大要ヲ示スコト)
エ 計画説明大要
水力100馬力以上発生スルモノハ取水口ノ上流1,000間ノ地点ヨリ放水路ノ下流1,000間ノ地点ニ亙リ其ノ他ノモノハ取水口ノ上流100間ノ地点ヨリ放水路ノ下流100間ノ地点ニ亙ル取水河川ノ勾配並其ノ河床ノ状態及取水方法ノ大要使用水量決定ノ理由、水路断面算定ノ方法、水車ノ種類、箇数、掘鑿土砂ノ数量及処理方法、切取盛土法面ノ保護及山地崩潰防止ノ方法ヲ記載シ尚特ニ貯水池又ハ河水ノ調整池ヲ設クルモノニ在リテハ其ノ計画ノ大要ヲ記載スルコト
(3) 取水河川ノ水量測定
ア 流域面積(方里ヲ以テ単位トシ里未満ハ小数ヲ表スルコト)
イ 流域ニ於ケル森林状態(裸地、耕地、林野ノ面積、歩合等)
ウ 雨量観測表(附近観測所ノ調査ニシテ可成5年以上ニ亙ルモノ)
エ 取水口附近ニ於ケル流水量及其ノ測定ノ方法、時期並測定場所ノ横断面図)
横断面図ノ縮尺ハ適宜トシ渇水、低水及最高水位ヲ記入スルコト尚水量測定ハ数種ノ方法ニ依リ渇水時ニ於テ数回之ヲ行ヒ担当技術者ノ氏名ヲ併記スヘシ
(4) 起業ト治水其ノ他公益事業トノ関係
ア 灌漑其ノ他既許可ノ水利事業ニ対シ障害防止ノ目的ヲ以テ施設スルモノアルトキハ其ノ大要
イ 舟筏ノ通航、流木及漁業ニ関シ施設スルモノアルトキハ其ノ大要
ウ 名勝旧蹟等ノ風致保存ニ関シ設備スルトキハ其ノ大要
エ 取水口堰堤ノ為洪水時ニ於ケル水面ノ隆起ニ起因スル影響防止ノ目的ヲ以テ施設スル場合ハ其ノ大要
オ 貯水池設置ニ因リ流出水量ニ増減ヲ来ス結果取水河川ノ下流ニ於ケル用悪水路並舟筏ノ通航及流木ニ及ホス影響防止ニ関シ施設スル場合ハ其ノ大要
カ 放水口ヲ他ノ河川ニ設クル場合関係河川ノ治水及ヒ水利上ニ及ホス影響防止ノ目的ヲ以テ施設スルトキハ其ノ設備方法ノ大要
(5) 工事費予算書 (別紙様式ニ依ル)
第3条 第1条ニ依リ許可ヲ受ケタル者ハ許可命令書ニ指定ノ期限内ニ工事実施設計ノ認可ヲ知事ニ申請スヘシ
第4条 前条申請ノ場合ニ於テ河川法施行河川及其ノ流域ニ属スル河川其ノ他特ニ指定スル河川ニ関スルモノハ次ノ各号ヲ具シタル図書2通其ノ他ノモノハ同1通ヲ添付スヘシ
(1) 水路実測図
ア 平面図
縮尺6,000分1以上トシ水路ノ中心線、測点番号、水路及附帯工作物ノ位置ヲ記入シ附近ノ地形ヲ明ナラシムルコト
イ 縦断面図
縮尺横6,000分1以上縦200分1以上トシ測点番号、基準線(高ハ可成陸地測量部水準ニ準拠スルコト)距離、逓加距離、地盤高、切取盛土ノ高、水路底面ノ高、計画水位(水面勾配ヲ記入スルコト)並実測平面図ニ示シタル水路及附帯工作物ノ位置等ヲ記入シ尚取水口及放水口ニハ最高水位、平水位、最低水位ヲ記入スルコト
ウ 横断面図
縮尺200分1以上トシ切取盛土面坪、計画水位、法勾配、法面保護工事等ヲ記入シ各断面間ノ距離ハ土坪計算ニ必要ナル程度ト為スコト
(2) 構造図
ア 堰堤(流水路、舟筏路、魚道、土砂吐等ヲ含ム)取水口、沈砂池、土砂吐、余水路、制水門、隧道、開渠、木樋、水路管、水路橋、水槽、放水路、水圧管、吸出管、水車、発電所並貯水池、河水ノ調整池等ノ構造図(縮尺ハ適宜トシ構造ノ適否ヲ判定スル為必要アル水位ハ之ヲ記入スルコト)
イ 水路開設ニ伴ヒ施設スヘキ各種工作物ノ構造図(縮尺ハ適宜トシ構造ノ適否ヲ判定スル為必要アル水位ハ之ヲ記入シ尚水路ト新旧工作物トノ関係ヲ明ニシタル平面図及断面図ヲ添付スルコト尚掘鑿土砂捨場附属工作物ノ構造ハ特ニ之ヲ記載スルコト)
(3) 工事説明書
水路選定ノ理由、水路実測図及構造図ニ示シタル各種工事設計ノ要領(算式ヲ以テ計算シタルモノハ其ノ計算書ヲ添付スルコト)工事施行ノ順序、作業方法、掘鑿土砂処理方法(土坪計算表及土砂捨場図ヲ添付シ各箇所ノ面積及土砂包容量ノ計算ヲ明示スルコト)等ヲ記載シ尚堰堤ニ付テハ地質ノ説明(試鑚ヲ行ヒタルモノハ其ノ成績表ヲ添付スルコト)ヲ為シ且洪水時ニ於ケル水面ノ隆起及嵩水ノ影響ヲ図示スルコト
貯水池及河水ノ調整池ヲ設クル場合ニハ貯水容量(立方尺トシ其ノ計算書ヲ添付スルコト)及其ノ使用方法ヲ記載スルコト
(4) 工事費予算書
工事費概算書中水路工事費ニ関スル各費目ヲ細別シ工事種類、長、数量、単価、金額及工法ノ摘要ヲ示スコト但シ特種ノモノニ付テハ別ニ設計書ヲ添付スルコト
(1) 使用水量ノ変更又ハ之ニ伴フ工事ノ変更
(2) 取水口、放水口若ハ貯水池ノ位置又ハ其ノ構造ノ変更但シ些少ノ変更ハ此ノ限ニ在ラス
(3) 其ノ他著シキ工事ノ変更
附則
第7条 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス