○水難救護法取扱手続

明治32年8月12日

佐賀県訓令第392号

市役所

町村役場

水難救護法取扱手続次ノ通相定ム

水難救護法取扱手続

第1章 遭難船舶

第1条 遭難船舶救護ノ場合ニ於テ人ノ招集、物件ノ徴用其他一般ノ処分ニ付テハ救護ノ目的ヲ達スルニ必要ナル程度ヲ限トシ救護費用ノ増加セサル様注意スヘシ

第2条 救護ハ人命ヲ先ニシ逐次郵便物、船内書類其他ノ物件ニ及ホスヘシ

第3条 市町村長ハ救護ニ関係シタル者ノ労務ノ種類、危険ノ程度及救護ニ従事シタル時間ノ長短ニ留意スヘシ

第4条 遭難船舶外国ノ国籍ニ属スルモノナルトキハ市町村長ハ事件ヲ認知シタル後遅滞ナク次ノ事項ヲ当庁ニ通知スヘシ

(1) 船舶ノ国籍及名称

(2) 遭難ノ事由場所及年月日

第5条 市町村長ニ於テ水難救護法第14条第1項ノ期間ヲ指定スルニハ救護ニ関係シタル者ニ於テ其ノ金額ヲ申立得ヘキ時間ヲ標準トスヘシ

第6条 救護ヲ為シタル市町村長ハ次ノ事項ヲ記載シタル救護始末書ヲ調製スヘシ

(1) 遭難船舶ノ種類、名称、積量並ニ外国ノ船舶ナルトキハ其国籍

(2) 船籍港

(3) 船舶所有者ノ住所、氏名若クハ名称

(4) 船長ノ氏名並ニ海技免状ヲ有スル者ナルトキハ其種類及番号

(5) 遭難ノ事由、年月日時及場所

(6) 救護ノ状況

(7) 救護ニ関係シタル者ノ氏名、労務ノ種類、時間、水難救護法第14条第1項ノ規定ニ依リ申立タル金額及市町村長ノ定メタル救護費用水難救護法第12条各号ニ掲ケタル者アルトキハ其事項

(8) 徴用シタル物件及使用シタル土地ノ種類、所有者ノ氏名若クハ名称、使用ノ時間、揖傷ノ有無及程度、水難救護法第14条第1項ノ規定ニ依リ申立テタル金額、市町村長ノ定メタル救護費用

(9) 船員及旅客の負数、死傷者ノ氏名及住所

(10) 救上ケタル物件ノ種類及数量

(11) 公売ヲ為シタル物件ノ種類数量及公売代金

(12) 物件ノ運搬保管又ハ公売ニ要シタル費用

第7条 市町村長ニ於テ水難救護法第15条第2項ノ期間ニ指定スルニハ船長又ハ船舶所有者ニ於テ救護費用ヲ納付シ得ヘキ時間ヲ標準トスヘシ

第8条 遭難船舶外国ノ国籍ニ属スル場合ニ於テ市町村長水難救護法第15条第2項及第3項ノ手続ヲ為サントスルモ船長、船舶所有者又ハ其代理人内国ニ在ラザルトキハ市町村長ハ救護費用ノ金額及之ヲ納付スヘキ期間ヲ知事ニ申立ツヘシ

第9条 船長又ハ船舶所有者ニ於テ救護費用ヲ納付シ又ハ担保ヲ供シタルトキハ市町村長ハ領収書ヲ交付スヘシ船長又ハ船舶所有者ニ於テ市町村長ノ保管スル金銭又ハ物件ノ引渡ヲ受ケタルトキハ領収書ヲ差出サシムヘシ

第10条 市町村長救護費用ヲ支弁セントスルトキハ之ヲ領収スヘキ者ヲ呼出シ其金額ヲ交付シ又ハ便宜ニ依リ直ニ其金額ヲ送付スヘシ

第11条 市町村長水難救護法第19条ノ規定ニ依リ国庫ヨリ救護費用ノ全部又ハ一部ノ支給ヲ受ケントスルトキハ其事由ヲ記載シタル救護費用補給請求書ニ救護始末書ノ謄本ヲ添ヘ当庁ヲ経由シテ之ヲ逓信大臣ニ差出スヘシ

第12条 市町村長ハ救護事務終了シタルトキハ1箇月以内ニ救護始末書ノ謄本ヲ知事ニ差出スヘシ

第12条ノ2 市町村長水難救護法第9条第1項ノ規定ニ依リ物件ヲ保管スル場合ニ於テ該物件煙草専売法第34条第1項ニ該当スルモノナルトキハ其ノ種類、数量及荷主、船長、船舶所有者等分明ナル場合ニ在リテハ其ノ住所並ニ氏名ヲ直ニ最寄専売支局又ハ同出張所ニ通知スヘシ

第2章 漂流物及沈没品

第13条 市町村長拾得者ヨリ漂流物又ハ沈没品ノ引渡ヲ受ケタルトキハ拾得ノ日時場所並ニ物件ノ存在セシ状況ヲ訊問スヘシ

第14条 市町村長ハ漂流物又ハ沈没品ノ件名書ヲ作リ之ニ次ノ事項ヲ記載スヘシ

(1) 物件ノ名称、数量、品質其他必要ナル表示

(2) 拾得ノ日時及場所

(3) 物件ノ引渡ヲ受ケタル日時

(4) 拾得者ノ住所、氏名

(5) 公告ノ方法、公告又ハ告知ヲ為シタル年月日

(6) 物件ノ評価額

(7) 公告、保管、公売又ハ評価ニ要シタル費用

(8) 拾得者ニ支給スヘキ分一金額

(9) 所有者ノ住所氏名

(10) 水難救護法第28条第3項ノ場合ニ於ケル国庫ノ取得額又ハ補給金額

第15条 市町村長所有者又ハ拾得者ニ物件ヲ引渡シタルトキハ件名書中其氏名ノ項ニ何年何月何日引渡シト附記シ氏名ノ下ニ捺印セシムヘシ

第16条 水難救護法第28条第3項又ハ第30条第2項ノ場合ニ於テ国庫ノ取得トスヘキ残余ヲ生シ又ハ国庫ノ補給ヲ受クヘキ不足ヲ生シタルトキハ市町村長ハ次ノ事項ヲ記載シタル漂流物又ハ沈没品計算書ヲ調製シ当庁ヲ経由シテ逓信大臣ニ之ヲ差出スヘシ

(1) 物件ノ名称、数量及品質

(2) 公売代金

(3) 公告、保管及公売ノ費用

(4) 残余又ハ不足ノ金額

第17条 市町村長ハ毎年1回附録書式ニ従ヒ漂流物沈没品件数表ヲ調整シ翌年3月末日限リ知事ニ差出スヘシ

補則

第18条 市町村長水難救護法ノ規定ニ依リ保管スル物件ヲ公売シ又ハ拾得者ニ引渡サムトスル場合ニ於テ該物件関税未納ノ貨物ナルトキハ其ノ種類並ニ数量及公売又ハ引渡ノ場所並ニ期日ヲ税関官吏、税関官吏現場ニ在ラサルトキハ収税官吏ニ通知シ且税関手続未済ノ物件ナルコトヲ入札者又ハ拾得者ニ告知スヘシ

第19条 市町村長水難救護法ノ規定ニ依リ保管スル物件ヲ公売シ又ハ其ノ引渡ヲ受クヘキコトヲ告知セムトスル場合ニ於テ該物件煙草専売法第34条第1項ニ該当スルモノナルトキハ之ヲ公売シ又ハ之ニ関シ告知スルコトナク次ノ取扱ヲ為スヘシ

(1) 水難救護法第11条第1項第26条又ハ第29条第2項ノ規定ニ依リ公売セムトスル場合ニ於テハ葉煙草ニ在リテハ之ヲ最寄専売支局又ハ同出張所ニ其他ノ物件ニ在リテハ之ヲ最寄専売局製造所又ハ同支所ニ有償ニテ引渡シ因テ受ケタル代価ハ公売代金ト看做シテ之ヲ取扱フコト

(2) 水難救護法第28条第1項又ハ第30条第2項ノ規定ニ依リ告知又ハ公売セムトスル場合ニ於テハ該物件ヲ無償ニテ前号ノ例ニ準シ引渡スコト

第20条 市町村長水難救護法ノ規定ニ依リ保管スル物件ヲ公売セムトスル場合ニ於テ該物件政府ノ証票アル製造煙草ナルトキハ之ヲ公売スルコトナク第11条第1項第26条又ハ第29条第2項ノ場合ニ在リテハ有償ニテ第28条第3項又ハ第30条第2項ノ場合ニ在リテハ無償ニテ最寄専売局製造所又ハ同支所ニ引渡スヘシ

2 前項ノ規定ニ依リ有償ニテ物件ヲ引渡シタルトキハ因テ受ケタル代価ハ公売代金ト看做シテ之ヲ取扱スヘシ

第21条 市町村長水難救護法ノ規定ニ依リ物件ヲ保管スル場合ニ於テ該物件煙草専売法第34条第1項ニ該当シ且同法ノ規定ニ依リ没収スルコトヲ得サルモノナルトキハ之ヲ第19条第1号ノ例ニ準シ無償ニテ引渡スヘシ

第22条 第3条ノ規定ニ依リ物件ヲ専売官署ニ引渡ス為メニ要スル運搬費ハ該官署ニ請求スヘシ

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水難救護法取扱手続

明治32年8月12日 訓令第392号

(昭和3年3月1日施行)

体系情報
第5編 民生/第6章 水難救護
沿革情報
明治32年8月12日 訓令第392号
明治33年7月 訓令第346号
大正3年8月 訓令甲第11号
昭和3年3月 訓令甲第5号