○政府調達に関する苦情の処理手続
平成12年2月28日
佐賀県告示第124号
政府調達に関する苦情の処理手続を次のように定める。
なお、政府調達に関する苦情の処理手続(平成8年佐賀県告示第391号)は、廃止する。
政府調達に関する苦情の処理手続
第1 佐賀県政府調達苦情検討委員会
1 佐賀県政府調達苦情検討委員会(以下「委員会」という。)は、苦情を文書で受理し、調達機関による当該苦情に係る調達のいかなる側面に関しても事実関係を調査し、調達機関に対する提案を行う。
2 申し立てられた苦情に関して利害関係を持つと認められる委員は、当該苦情の検討に参加することができない。
第2 苦情の申立て
1 供給者(調達機関が製品又はサービスの調達を行った際に当該製品又はサービスの提供を行った者及び行うことが可能であった者をいう。以下同じ。)は、2012年3月30日ジュネーブで作成された政府調達に関する協定を改正する議定書によって改正された1994年4月15日マラケシュで作成された政府調達に関する協定、経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定その他の国際約束(以下「協定等」という。)の規定に反する形で調達が行われたと判断する場合には、委員会に対し書面により苦情を申し立てることができる。
供給者が、協定等の違反があると考える場合には、まず、当該調達を行った機関との間で協議を行い、解決を求めることが奨励される。
2 供給者が協定等の違反があると考え、調達機関に対し協議を行いたい旨申し出た場合にあっては、当該調達機関は当該供給者と速やかに協議を行い、苦情を解決するように努めなければならない。
第3 期間
1 本処理手続において、日数の計算は、特に規定のない限り暦日による。
2 本処理手続において、作業日とは、県の休日でない日をいう。
3 本処理手続において、期間の初日は算入しない。
4 本処理手続において、期間の末日が県の休日に当たるときは、期間はその翌日に満了する。
第4 参加者
1 苦情の申立てがあった場合、当該苦情に係る調達に利害関係を持つすべての供給者は、苦情処理手続に参加することができる。
2 苦情の申立てがあった場合、当該苦情に係る調達を行った機関(以下「関係調達機関」という。)は、苦情処理手続に参加しなければならない。
3 苦情の申立てがあった場合、当該苦情に係る調達に利害関係を持つ供給者であって当該苦情処理手続に参加を希望するものは、第5の6に定める公示後5日以内に参加の意思を委員会に通知しなければならず、当該供給者であって通知を行ったもの(以下「参加者」という。)は、本処理手続の適用を受ける。
4 3の規定による参加の通知は、いつでも取り下げることができる。
第5 苦情の検討の手続
1 供給者は、調達手続のいずれの段階であっても、協定等のいずれかの規定に反する形で調達が行われたと判断する場合には、苦情の原因となった事実を知り、又は合理的に知り得たときから10日以内に、書面により委員会へ苦情を申し立てることができる。委員会は、苦情の申立てのあった後直ちに、その写しを関係調達機関に送付する。
2 委員会は、苦情申立ての書類に不備があると認めるときは、当該苦情を申し立てた者に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。この場合において、不備が軽微なものであるときは、委員長は、職権で補正することができる。
3 委員会は、原則として、申立て後10作業日以内に苦情について検討し、次の各号のいずれかに該当する場合には、書面により理由を付して却下することができる。
(1) 遅れて申立てが行われた場合
(2) 協定等と無関係の場合
(3) 軽微な、又は無意味な場合
(4) 供給者からの申立てでない場合
(5) その他委員会による検討が適当でない場合
4 関係調達機関は、申し立てられた苦情が却下されるべきと判断する場合には、委員会に対し、書面により理由を付して却下すべき旨を申し出ることができる。
5 委員会は、苦情の申立てが遅れて行われても、正当な理由があると認める場合には当該申立てを受理することができる。
6 委員会は、苦情が正当に申し立てられたと認め、申立てを受理した場合には、当該苦情を申し立てた者(以下「苦情申立人」という。)及び関係調達機関に対しその旨を直ちに文書で通知するとともに、委員長の定めるところにより公示を行う。
7 契約締結又は契約執行の停止
(1) 委員会は、原則として、契約締結に至る前の段階での苦情申立てについては、関係調達機関に対し苦情処理に係る期間内は契約を締結すべきでない旨の要請を、申立て後12作業日以内に速やかに文書で行う。
(2) 委員会は、原則として、契約締結後10日以内に行われた苦情申立てについては、関係調達機関に対し苦情処理に係る期間内は契約執行を停止すべきである旨の要請を速やかに文書で行う。
(3) 委員会は、緊急かつやむを得ない状況にあるため、契約を締結すべきでない旨又は契約執行を停止すべきである旨の要請を関係調達機関に対して行わないと決定した場合には、その旨を理由とともに直ちに苦情申立人に文書で通知する。
(4) 関係調達機関は、委員会から契約を締結すべきでない旨又は契約執行を停止すべきである旨の要請を受けた場合には、速やかにこれに従う。
(5) (4)の場合において、関係調達機関の長が緊急かつやむを得ない状況にあるため、機関として委員会の要請に従うことができないと判断する場合には、その旨を理由とともに直ちに委員会に文書をもって通知しなければならない。委員会は、当該通知のあった後直ちに当該文書の写しを苦情申立人に送付する。
(6) (5)の通知があった場合には、委員会は、当該理由が認めるに足りるものかどうかを判断し、その結果を直ちに苦情申立人及び関係調達機関に文書をもって通知しなければならない。
8 検討
(1) 委員会は、苦情申立人及び関係調達機関に対し説明、主張、文書の提出等を求め、これに基づき、苦情についての検討を行う。
(2) 関係調達機関は、公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生じる恐れのある場合を除き、説明、主張、文書の提出等を拒むことができない。
(3) 委員会は、説明、主張、文書の提出等が、公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生じる恐れのある場合に該当するかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、関係調達機関に説明、主張、文書の提出等をさせることができる。この場合においては、何人も、その説明、主張、文書等の開示を求めることができない。
(4) 委員会は、受理した苦情に係る調達に関して裁判所に対し訴えが提起された場合にあっても、当該訴えにかかわらず、この処理手続の定めるところにより苦情についての検討を行う。
(5) 苦情申立人、参加者及び関係調達機関は、委員会が検討の結果を取りまとめる前に、委員会に出席し、意見を述べることができる。
(6) 苦情申立人、参加者及び関係調達機関は、弁護士又は委員会の承認を得た者を代理人とすることができる。
(7) (6)の承認は、いつでも取り消すことができる。
(8) 代理人の権限は、書面をもって証明しなければならない。
(9) 代理人が2人以上あるときは、各人が本人を代理する。
(10) 苦情申立人、参加者、関係調達機関及び代理人は、委員会の承認を得て、補佐人とともに委員会に出席することができる。
(11) (10)の承認は、いつでも取り消すことができる。
(12) 苦情申立人、参加者及び関係調達機関は、当該苦情の申立てに関して開催される委員会における互いの陳述を傍聴することができる。ただし、委員会が傍聴が適当ではないと判断する場合は、この限りでない。
(13) 委員会は、その判断により、証人を出席させることができる。
(14) 苦情申立人、参加者及び関係調達機関は、委員会において自らが行う意見若しくは報告の陳述を公開で行うこと又は証人の出席を求めることができる。この場合において、委員会は、原則として、その求めに応じるものとする。ただし、意見若しくは報告の陳述又は証人の出席は、苦情申立人、参加者、関係調達機関その他の調達に利害関係を持つ者の営業上の秘密、製造過程、知的財産その他当該者に関する商業上の秘密情報の保護に配慮されたものでなければならない。
(15) 委員会は、苦情申立人若しくは関係調達機関の要請により、又は委員会自らの発意により、苦情の内容について公聴会を開くことができる。
(16) 委員会は、必要に応じ、検討の対象となる調達に関し識見を持つ技術者等より意見を聴くことができる。この場合において、当該技術者等は、当該調達に関して実質的な利害関係を持つ者であってはならない。
9 1の規定による苦情申立ては、いつでも取り下げることができる。
10 関係調達機関の報告書
(1) 関係調達機関は、申し立てられた苦情が委員会に受理された場合、当該苦情の写しが当該関係調達機関に送付された後14日以内に、委員会に対し次の事項を含む苦情に係る調達に関する報告書を提出しなければならない。
ア 当該苦情に係る調達に関連する仕様書、その一部を含む入札書類その他の文書
イ 関連する事実、判明した事実並びに関係調達機関の行為及び提案を明記し、かつ、苦情事項のすべてに答えている説明文
ウ 苦情を解決する上で必要となり得る追加的事項又は情報
(2) 委員会は、(1)に定める報告書を受領した後直ちに苦情申立人及び参加者に対し、当該報告書の写しを送付するとともに、当該写しを受領した後7日以内に委員会に意見又は当該報告書に基づき苦情の検討を希望する旨の要望を提出する機会を与える。委員会は、当該意見又は要望を受領した後直ちにその写しを関係調達機関に送付する。
(3) 委員会は、調達に利害関係を持つ者の同意があった場合を除き、当該者の営業上の秘密、製造過程、知的財産その他当該者が提出した商業上の秘密情報を第三者に開示しない。
第6 検討の結果及び提案
1 委員会は、苦情が申し立てられた後90日以内(公共事業に係る苦情申立てについては50日以内)に、検討の結果の報告書を文書で作成する。委員会は、当該報告書において、検討の結果の根拠に関する説明とともに、苦情の全部又は一部を認めるか否かを明らかにするとともに、調達の手続が協定等の規定に反して行われたものか否かを明らかにする。
2 委員会は、協定等に定める措置が実施されていないと認める場合には、次の1又は2以上を含む適切な是正案を提案するため、報告書とともに提案書を文書で作成する。
(1) 新たに調達手続を行う。
(2) 調達条件を変えず、再度調達を行う。
(3) 調達を再審査する。
(4) 他の供給者を契約締結者とする。
(5) 契約を破棄する。
3 委員会は、検討の結果及び提案を作成するに当たり、調達手続における瑕疵の程度、全部又は一部の供給者に与えた不利益な影響の程度、協定等の趣旨の阻害の程度、苦情申立人及び関係調達機関の誠意、当該調達に係る契約の履行の程度、当該提案が調達機関に与える負担、当該調達の緊急性及び関係調達機関の業務に対する影響等、当該調達に関する状況を考慮するものとする。
4 委員が少数意見の公表を求めた場合には、委員会は少数意見を報告書に付記することができる。
5 委員会は、報告書及び提案書を作成した後直ちに苦情申立人、関係調達機関及び参加者に送付する。
6 関係調達機関は、原則として、関係調達機関自身の決定として、正当に申し立てられた苦情に係る委員会の提案に従うものとする。関係調達機関は、提案に従わないとの判断を行った場合には、提案書を受領した後10日以内(公共事業に係る苦情申立てについては60日以内)に理由を付して委員会に報告しなければならない。
7 委員会は、検討の結果及び提案に関する外部からの照会に応じる。
8 委員会は、申し立てられた苦情を検討する際に当該苦情に係る調達に関して法律に違反する不正又は行為の証拠を発見した場合には、適当な執行当局による措置を求めるため、当該執行当局に通報する。
第7 迅速処理
1 委員会は、苦情申立人又は関係調達機関から文書で苦情の迅速な処理の要請があった場合には、この項に定める迅速処理の手続に従って苦情処理を行うか否かを決定する。
2 委員会は、迅速処理の要請を受理した後直ちに迅速処理を適用するか否かを決定し、苦情申立人、関係調達機関及び参加者に対し、その決定の結果及びその理由を通知する。
3 迅速処理が適用される場合の期限及び手続は、次のとおりとする。
(1) 関係調達機関は、委員会から迅速処理が適用される旨の通知を受けた後6作業日以内に、第5の10に定める報告書を委員会に提出する。委員会は、当該報告書を受領した後直ちに、苦情申立人及び参加者に対し、その写しを送付するとともに、当該写しを受領した後5日以内に、委員会に意見又は当該文書に基づき事実判断を希望する旨の要望を提出する機会を与える。委員会は、当該意見又は要望を受領した後直ちに、その写しを関係調達機関に送付する。
(2) 委員会は、苦情が申し立てられた後45日以内(公共事業並びに電気通信機器及び医療技術製品並びにこれらに係るサービスに係る苦情申立てについては25日以内)に、検討の結果の報告書及び提案書を文書で作成する。
第8 苦情の受付及び処理の状況の公表
知事は、政府調達に係る苦情の受付及び処理の状況を取りまとめ、その概要を定期的に公表する。
第9 調達に係る文書の保存
調達機関は、苦情の処理手続に資するため、協定等の対象となる調達を行った場合には、当該調達に係る契約の日から3年間(公共事業並びに電気通信機器及び医療技術製品並びにこれらに係るサービスに係る場合にあっては5年間)、当該調達に係る文書(電子的手段による当該調達の実施に関する履歴を適切に確認するためのデータを含む。)を保存しなければならない。
第10 適用
1 協定等に定める適用基準額の邦貨換算額については、地方公共団体の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令(平成7年政令第372号)第3条第1項の規定に基づき総務大臣の定める区分に応じ総務大臣の定める額によるものとする。
2 この処理手続は、この告示の日以後に申し立てられた苦情について適用する。
改正文(平成31年告示第21号)抄
平成31年2月1日から施行する。