○佐賀県犯罪被害者等支援条例

平成29年3月23日

佐賀県条例第11号

佐賀県犯罪被害者等支援条例をここに公布する。

佐賀県犯罪被害者等支援条例

(目的)

第1条 この条例は、予期せざる犯罪等に巻き込まれ、直接的、副次的な被害に苦しめられている犯罪被害者等に対して、社会全体がその立場に立ち、その心に寄り添った支援を行うことが大切であることから、犯罪被害者等支援に関し、基本理念を定め、並びに県、県民、事業者及び民間支援団体の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等支援に関する施策について、その基本となる事項を定め、総合的かつ計画的に推進することにより、犯罪被害者等が受けた被害の早期の回復又は軽減を図り、もって犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができる佐賀県を目指すことを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 犯罪等 犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。

(2) 犯罪被害者等 犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族をいう。

(3) 犯罪被害者等支援 犯罪被害者等が、その受けた被害を回復し、又は軽減し、再び平穏な生活を営むことができるようにするための取組をいう。

(4) 民間支援団体 犯罪被害者等支援を行うことを主たる目的とする民間の団体をいう。

(基本理念)

第3条 全て犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。

2 犯罪被害者等支援は、被害の状況及び原因、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に推進されなければならない。

3 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等が、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、途切れることなく受けることを旨として推進されなければならない。

4 犯罪被害者等支援は、国、県、市町、民間支援団体その他の関係するものが相互に連携協力して推進されなければならない。

(県の責務)

第4条 県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、国及び市町との適切な役割分担を踏まえて、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(県民の責務)

第5条 県民は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏を害することのないよう十分配慮するとともに、県及び市町が行う犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、その事業活動を行うに当たっては、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏を害することのないよう十分配慮するとともに、犯罪被害者等支援に努めるものとする。

(民間支援団体の責務)

第7条 民間支援団体は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等支援に関する専門的な知識及び経験を活用し、犯罪被害者等支援を推進するとともに、県及び市町が行う犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(犯罪被害者等支援に関する推進計画の策定)

第8条 県は、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、犯罪被害者等支援に関する推進計画(以下「推進計画」という。)を定めるものとする。

2 推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 犯罪被害者等支援に関する施策についての基本方針

(2) 犯罪被害者等支援に関する具体的施策

(3) 前2号に掲げるもののほか、犯罪被害者等支援に関する施策を推進するために必要な事項

3 県は、推進計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

(財政上の措置)

第9条 県は、犯罪被害者等支援に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(推進体制の整備)

第10条 県は、国、市町、民間支援団体その他犯罪被害者等支援に関係する機関と連携して、犯罪被害者等支援に関する施策を推進するための体制の整備に努めるものとする。

(相談、情報の提供等)

第11条 県は、犯罪被害者等が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるようにするため、犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行い、犯罪被害者等の援助に精通している者を紹介する等必要な施策を講ずるものとする。

(保健医療サービス及び福祉サービスの提供)

第12条 県は、犯罪被害者等が心理的外傷その他犯罪等により心身に受けた影響から回復できるようにするため、その心身の状況等に応じた適切な保健医療サービス及び福祉サービスが提供されるよう必要な施策を講ずるものとする。

(日常生活の支援)

第13条 県は、犯罪被害者等が早期かつ円滑に平穏な日常生活を営むことができるようにするため、必要な施策を講ずるものとする。

(安全の確保)

第14条 県は、犯罪被害者等が更なる犯罪等により被害を受けることを防止し、その安全を確保するため、一時保護、施設への入所による保護、防犯に係る指導、犯罪被害者等がその被害に係る刑事に関する手続に証人等として関与する場合における特別の措置、犯罪被害者等に係る個人情報の適切な取扱いの確保等必要な施策を講ずるものとする。

(居住の安定等)

第15条 県は、犯罪等により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等の居住の安定を図り、又は犯罪被害者等が更なる犯罪等により被害を受けることを防止するため、犯罪被害者等の一時的な利用に供する住居の提供等必要な施策を講ずるものとする。

(雇用の安定)

第16条 県は、犯罪被害者等の雇用の安定を図るため、犯罪被害者等が置かれている状況について事業者の理解を深める等必要な施策を講ずるものとする。

(保護又は捜査の過程における配慮等)

第17条 県は、犯罪被害者等の保護又はその被害に係る刑事事件の捜査の過程において、名誉又は生活の平穏その他犯罪被害者等の人権に十分な配慮がなされ、犯罪被害者等の負担が軽減されるよう、専門的知識又は技能を有する職員の配置等必要な施策を講ずるものとする。

(経済的な助成に関する情報の提供等)

第18条 県は、犯罪被害者等が受けた被害による経済的負担の軽減を図るため、経済的な助成に関する情報の提供及び助言その他の必要な施策を講ずるものとする。

(県民等の理解の増進)

第19条 県は、社会全体として犯罪被害者等支援が推進されるよう、教育活動、広報活動、啓発活動等を通じて、犯罪被害者等が置かれている状況、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏への配慮の重要性等について県民及び事業者の関心と理解を深めるために必要な施策を講ずるものとする。

(人材の育成)

第20条 県は、犯罪被害者等支援の充実を図るため、相談、助言、日常生活の支援その他の犯罪被害者等支援を担う人材を育成するための研修等必要な施策を講ずるものとする。

(民間支援団体等に対する支援)

第21条 県は、民間支援団体その他の犯罪被害者等支援に関係する団体及びそれらの団体を組織しようとする者が適切かつ効果的に犯罪被害者等支援を推進することができるよう、情報の提供、助言等必要な施策を講ずるものとする。

(意見の反映)

第22条 県は、犯罪被害者等支援に関する施策の推進に当たっては、犯罪被害者等をはじめ広く県民から意見を聴き、その反映に努めるものとする。

この条例は、平成29年4月1日から施行する。

佐賀県犯罪被害者等支援条例

平成29年3月23日 条例第11号

(平成29年4月1日施行)